フィルムMサイズ LEICA M10

フィルムMサイズ LEICA M10

LEICA M10のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

レビュー

M10とNoctiluxに使用After image

1.概要

LEICA M10は2017年にリリースされたライカ Mの正式なナンバー名称を引き継ぐカメラだ。タイプ表記も残っておりtyp 3656となる。

ライカMシリーズというカメラの特性上、撮影機能はそれほど大きな進化をするわけではなく、細部のブラッシュアップが主な改良点となる。

前モデルのM typ240からの大きな変更点としてボディのトップカバー厚みがM6などのフィルムカメラ並みとなりカメラ重量もすこし軽くなった。しかし、液晶ディスプレイ部分にフィルムカメラより厚いというデジタルカメラならではのネガティブが残っている。

カメラの心臓部であるイメージセンサーの画素数は2400万画素とM typ240から変化はない。
しかし、ライカは改良された新型センサーとアナウンスしているため、センサーが変更されたことは間違いない。
その一端は撮影の基準ISO感度がLEICA M typ240のISO200からLEICA M10はISO100に変更されていることだ。

ライカはM typ240まではセンサー情報に関しては情報をオープンにしていた。しかし、このM10以降のカメラに搭載されるセンサーについては、設計、製造に関係する会社名をださなくなった。

M typ240では不要と言われたビデオの録画機能は廃止されたけれど、ライブビュー機能は残されており、背面液晶を利用するほか、VISOFLEX(18767・typ020)と呼ばれる240万ドットの電子ビューファインダーが提供されている。このVISOFLEXはライカTシリーズ、レンズ一体型カメラのライカXでも使用することができる。また、M11と同時に発売になった359万ドットのVISOFLEX2もM10では使用できる。これを利用するためにはファームウェアのアップデートが必要で、かつ、使用時はVISOFLEX2の中央部240万ドットしか使えないという制限を受け入れる必要がある。

レンジファインダー部の仕様として重要なファインダー倍率は0.73倍で、フィルムM6の0.72倍と同等のスペックとなった。ブライトフレームのLEDファインダー方式はひきつづき採用されている。先行機種のM typ240の0.68倍から0.73倍と少し上がったけれど、M typ240と比較してファインダーの見え方に大きな変化は感じられない。

LEICA M10は外観をフィルムカメラに近づけることに注力したカメラでバッテリー容量には妥協がみられる。
M10が採用したBP-SCL5という薄型のバッテリーで、電池容量が容量1100 mAh、電圧7.4VでLEICA M typ240、LEICA M11のバッテリー容量1800mAh、電圧7.4Vの容量が2/3となっている。このためライブビューを使わない場合でも撮影枚数は、M typ240、M11に比べて少なくなる。

2.使用感

LEICA M10は、低ISOで使っているかぎりLEICA M Typ240と違いは感じない。

LEICA M10の使用上の改良点は、ISO変更ダイヤルがカメラトップの左肩に新設されたことだ。
個人的には日本カメラの特徴でもある露出補整ダイヤルもありがたいけれど、ライカはレンズの絞り環が物理的なので、シャッターダイヤルで露出を調整しろということなのだと理解はしている。

Aモードは撮影者の意図を反映しないことも多いため、露出補整ダイヤルに頼ることも多いので、絞りとシャッタースピードをマニュアルで設定して自分好みの光の捉え方をするのが、M型ライカを有効に使えている気がする。

本頁を作るために、SUMMILUX M 50mm ASPH.の画像を眺めていると、F1.4までのレンズを使うのであれば、ピント精度的も十分で問題なく撮影できる。しかし、さらに大口径のNOCTILUX、Ms-optics ISM-GAなどの絞り開放値=F1のレンズを二重像合致で確実にピントをあわせることは、撮影者の修行不足もあるだろうが困難であった。

ピントをあわせる速度という点においては、レンジファインダーの二重像合致式は撮影者の技量で素早いピント合わせが可能だ。しかし、厳密なピントを求める場合、二重像合致によるピント精度は十分とは言えない。カメラの癖を掴んで微妙な調整を人間側でおこなうようなアナログ的技術が求められる。

もちろん、M10に後付けできるVISOFLEXは購入した。しかし、LEICA M10にVISOFLEXを装着した場合、カメラのスタイルは悪くなるし、後付けのVISOFLEX使用時はカメラレスポンスにたいして悪影響があり、撮影感覚がレンジファインダーを使っているときと異なることに違和感があった。そのため、M10にVISOFLEXを付けて使うことはほとんど無かった。

そして、LEICA M10はLEICA M8から続く、バッテリー収納用のカメラ下面カバーの運用方法が変わり、下面カバーをしなくてもカメラが動作するようになった。このため、一部のレザーケースは下面カバーを装着しない運用を前提として、ケース下部に開閉式の扉を設けて、下面カバーを外さなくてもバッテリーが交換できるようになっている。

この思想をおしすすめたLEICA M11は、フィルム時代からの伝統である下面カバーを廃止した。ライカの個性と言われていた下面カバーだが2006年のLEICA M8の発売から11年の歳月を経て廃止されたことになる。
このギミックに固執したのは、ライカのこだわりと思われるけれど、もっと早く廃止されても問題はなかった。

M10とEVF搭載カメラを併用して、違和感を感じたのは以下の4点でその理由も記した。

  • EVFの優位性
    • EVFのピント拡大機能でフォーカス位置を確認すると、大口径レンズではフォーカスリングのわずかな回転でピント面が変わっていくことが実視できる。拡大位置も任意に選択可能で手ブレを除けばピント位置で失敗する可能性は小さい。
  • 外付けEVF
    • デジタルMは外付けEVFが装着できる。しかし、EVF一体型のカメラと比べるとデザイン的に統一感が無く、カメラバックへの収納時に邪魔となる。
  • レンジファインダー精度
    • M3から使われている技術の延長上にあるため機能的進歩がない。二重像合致でEVFと同等のピント精度を求めるのは難しい。
  • 高価格
    • レンジファインダーの機構を搭載するコストは削減しようが無く、EVF搭載のSLシリーズ、HASSELBLAD、FUJIFILMの中判デジタルカメラより高価である。

3.まとめ

結論として、LEICA M10をまとめると、現在の二重像合致方式を使うかぎり画素数も十分。高画素化と二重像合致方式を続けるならば、技術のブレイクスルーによるピント精度の向上が必須だ。

バッテリーは改善の余地があり、後継のM11では容量アップが図られている。

ボディサイズは液晶ディスプレイの厚みを無くすか、液晶ディスプレイを取り除いて、フォルムMライカと同じサイズの厚みのカメラの登場が待たれる。

LEICA M10はレンジファインダー・デジタルカメラの使用に区切りを付けさせてくれたカメラで、とても印象に残っている。

仕様・シリーズカメラ比較

モデル名M10M10-RM11
カメラ有効画素数2400万画素4089万画素6030万画素
記録画素数5,976 x 3,9927,864 × 5,2009,528 x 6,328
映像素子CMOSCMOSCMOS
センサーサイズ35mm Full size 35.8 x 23.9mm35mm Full size 35.8 x 23.9mm35mm Full size 35.8 x 23.9mm
最低感度10010064
背面液晶サイズ3.0 104万ドット3.0 104万ドット2.95 233万ドット
液晶カバーガラスノーマルガラスノーマルガラスGorilla®ガラス
ファインダー倍率0.730.730.73
EVFVISOFLEX VISOFLEX2*1VISOFLEX VISOFLEX2*1VISOFLEX2
最高シャッター速度1/40001/40001/4000
内蔵メモリーなしなし64GB
バッテリーBP-SCL5 *2BP-SCL5 *2BP-SCL7 *2
タッチスクリーンなしありあり
メディアSD,SDHC,SDXCSD,SDHC,SDXCSD,SDHC,SDXC
リリース年2017.01.282020.7.242022.1.21
サイズ139×80×38.5139×80×38.6139×80×38.7
重量(g)(バッテリー含む)・ブラック660660530
重量(g)(バッテリー含む)・シルバー660660640

オプション

  • LEICA M10 ハンドグリップ(下面カバーを取り替え)
  • VISOFLEX / VISOFLEX2
  • サムズアップ

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2025.4.28
  • 2024.8.6
  • 2024.04.07

広告


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA