LEICA M10
ライカM6サイズを実現
LEICA M10のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影レンズはズミルックス M 50mm F1.4 ASPH.
- 写真作例の撮影レンズはノクチルックス M 50mm.
レビュー
1.使用感
ライカM101(以下、M10)はM typ240の後継カメラで、typ3656と呼ばれるデジタルレンジファインダーカメラだ。以前所有していたがすでに手元にはない。
ライカMというカメラの特性上、それほど大きな進化をするわけではないが、細部のブラッシュアップはおこなわれている。今回はISO変更ダイヤルがかめら左肩に新設された。個人的には日本カメラのように露出補整の±ダイヤルのほうが嬉しいが、ライカ的にはレンズの絞り環が物理的なので、シャッターダイヤルで露出を調整しろということなのだと理解はしている。そもそも、Aモードは撮影者の意図を反映しないことも多いので、マニュアル設定で自分の好みの設定で撮影する癖をつける方がM型ライカ使いとしては正しいとだろう。
本頁を作るために、ズミルックス2(SUMMILUX) 50mmの画像を眺めていると、F1.4までのレンズを使うのであれば、ピント精度的にも十分に撮影できている。しかし、さらに大口径のノクチルックス、Ms-optics ISM-GAなどの絞り開放F1のレンズを二重像合致で確実にピントをあわせることは、撮影者の修行不足もあるだろうが困難であった。
ピントをあわせる速度という点においては、レンジファインダーの二重像合致式は撮影者の技量で素早いピント合わせが可能だが、厳密なピントを求める場合、二重像合致によるピント精度は十分とは言えない。慣れの問題で適当にずらして撮る術もあるだろうが、無駄に撮影データを増やすようで積極的にそのような使いかたをしたいとは思わない。
レンジファインダーカメラはフィルムくらいの緩さがちょうどよい感じがするため、いまのところデジタルレンジファインダーカメラはライカ M10で終わりにして、レンジファインダーカメラは、フィルムカメラで楽しんでいる。これについては、最後に「デジタル時代のレンジファインダー」で詳しく記している。
2.カメラ概要
このM10はライカ Mのナンバー名称を引き継ぐモデルで、M typ240からの大きな変更点としてボディ厚みがM6などのフィルムカメラ並みとなりカメラ重量もすこし軽くなった。
カメラの心臓部であるイメージセンサーの画素数は2400万画素とM typ240から変化はないが、ライカは改良された新型センサーと呼んでいる。センサーが変更されたことをうかがわせるのは、撮影の基準ISO感度がM typ240のISO200からM10ではISO100に変更されていることだ。
ライカはM typ240まではセンサー情報に関しては情報をオープンにしていたが、このM10以降のカメラに搭載されるセンサーについては、設計、製造に関係する会社名をださなくなった。
M typ240では不要と言われたビデオの録画機能は廃止されたが、ライブビュー機能は残されており、背面液晶を利用するほか、VISOFLEX(18767・typ020)と呼ばれる240万ドットの電子ビューファインダーが提供されている。このVISOFLEXはライカTシリーズ、レンズ一体型カメラのライカXでも使用することができる。また、M11と同時に発売になった359万ドットのVISOFLEX2もM10では使用できるが、ファームウェアのアップデートが必要であり、使用時はVISOFLEX2の中央部240万ドットしか使えないという制限を受け入れる必要がある。
レンジファインダー部の仕様として重要なファインダー倍率は0.73倍で、フィルムM6の0.72倍と同等のスペックとなった。ブライトフレームのLEDファインダー方式はひきつづき採用されている。先行機種のM typ240の0.68倍から0.73倍と少し上がったが、M typ240と比較してファインダーの見え方に大きな変化は感じられない。
ライカ M10のバッテリーは、BP-SCL53 という薄型のバッテリーとなっており、電池容量が容量1100 mAhでM typ240、M11のバッテリー容量1800mAhの2/3でありバッテリーの持ちはよくない。この容量の少ないバッテリーだがカメラサイズはほぼ同じのM11シリーズには採用されず、M10のみの採用で終わる。
M10はライカ M8から続く、カメラ下面カバーの運用方法が変わり、下面カバーをしなくてもカメラが動作するようになった。このため、一部のレザーケースは下面カバーをしない運用を前提として、ケース下部に開閉式の扉を設けて、バッテリー交換ができるようになっている。この思想をおしすすめたM11は、フィルム時代からの伝統である下面カバーを廃止した。ライカの個性と言われていた下面カバーだがM8(2006年)の発売から16年の歳月を経て廃止されたことになり、このギミックはもっと早く廃止されても問題はなかったと思うが、ここまでひっぱることにライカの不思議を感じる。
3.デジタル時代のレンジファインダー
ここでは、個人的にデジタルM型ライカを代表するデジタルレンジファインダーカメラにたいする諦めについて記している。
- EVFの優位性
- EVFのピント拡大機能でフォーカス位置を確認すると、フォーカスレバーのわずかな角度の動きでピント面が変わっていくことが実感できる。二重像合致ではこのピント精度をだすことは難しい。
- 値段が高い
- レンジファインダーの機構を搭載することは、非常にコストがかさみ、むようで、あまり使いもしない機能に投資することに意味を見いだせない。また、M3から使われている技術の延長上にあるため機能的進歩もない。
- 外付けEVFのデザイン上の問題
- 昔の撮影範囲を決めるだけの外付けファインダーと同じ感覚なのだろうが、カメラのデザイン的に美しくない。
これを感じる理由としてもっとも大きいのは、ライカ SL typ601、HASSELBLAD X1Dなどの高性能なEVFを搭載したカメラとライカ M10を併用したことだ。
両者を併用していると、使い勝手の面からEVFを搭載したカメラを選ぶことが圧倒的に多く、併用していた時期のデータフォルダーを見てもM10の稼働率は高くない。
もちろん、M10に後付けできるVISOFLEXを所有していたが、M10にVISOFLEXを装着した場合、カメラのスタイルは悪くなるし、後付けのVISOFLEX使用時はカメラレスポンスにたいして悪影響があり撮影感覚がレンジファインダーを使っているときと異なることに違和感があった。そのため、M10にVISOFLEXを付けて使うこともなくなった。
M10を売ってM-Pに戻りもしたが、それも長くは続かず、M10以後にリリースされた、M10-R:4000万画素、M11:6000万画素、止まることなく高画素化するイメージセンサーの画素数に対して、衰えた視力で二重像合致で確実にピントをあわせることは修行不足では片付けられない問題だ。また、単なる個人的な問題だが画素数に比例して上昇する価格も収入が先細る身としては投資するに辛い状況となっている。
しかし、光学技術のブレイクスルーにより、二重像合致方式でよりピント精度のよいファインダーが作られるならば、再びデジタル・レンジファインダーを使いたいとの思いはある。
現在のM3延長のレンジファインダー機構では、デジタルカメラに採用するセンサーとしては、ライカ M9の1800万画素でさえ過剰であり、1200~1500万画素程度のセンサーで十分だと思っている。
つらつらと言い訳を書いているが、ライカ M10というカメラは、レンジファインダー・デジタルカメラの使用に区切りを付けさせてくれたとても印象的なカメラだ。やはり、何事も実際に使用してみなくては自分にとっての真実はわからないと考える。
2024年現在M型デジタルカメラは手元に無く、フィルムカメラのヘキサー RF LimitedのみがM型ライカカメラとして手元にある。これで撮影していると、M型ライカはフィルム24枚か36枚で取り切るくらいのペースがよいと感じる。
仕様・比較
モデル名 | M typ240 | M10 | M10-R | M11 |
カメラ有効画素数 | 2400万画素 | 2400万画素 | 4089万画素 | 6030万画素 |
記録画素数 | 5,976 x 3,992 | 5,976 x 3,992 | 7,864 × 5,200 | 9,528 x 6,328 |
映像素子タイプ | CMOS | ← | ← | ← |
センサーメーカー | CMOSIS | ? | ? | ? |
センサーサイズ | 35mm Full size 35.8 x 23.9mm | ← | ← | ← |
最低感度 | 200 | 100 | ← | 64 |
背面液晶サイズ | 3.0 92万ドット | 3.0 104万ドット | ← | 2.95 233万ドット |
ファインダー倍率 | 0.68 | 0.73 | ← | ← |
EVF | EVF2 4 | VISOFLEX 5 VISOFLEX2 * | ← | VISOFLEX2 6 |
最高シャッター速度 | 1/4000 | ← | ← | ← |
バッテリー | BP-SCL2 7 | BP-SCL5 | ← | BP-SCL7 8 |
バッテリー容量 | 1800mAh | 1100mAh | ← | 1800mAh |
タッチスクリーン | なし | ← | あり | ← |
メディア | SD,SDHC,SDXC | ← | ← | ← |
リリース年 | 2013.3.20 | 2017.01.28 | 2020.7.24 | 2022.1.21 |
サイズ | 142.0 x 88.5 x 39.5 | 139×80×38.5 | ← | ← |
重量(g)(バッテリー含む)・ブラック | 680 | 660 | ← | 530 |
重量(g)(バッテリー含む)・シルバー | ↑ | ↑ | ← | 640 |
オプション
- LEICA M10 ハンドグリップ(下面カバーを取り替え)
- VISOFLEX / VISOFLEX2
- サムズアップ
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.8.6
- 2024.04.07
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