LEICA M8.2

ライカM8のマイナーチェンジ

ライカ M8.2 レンジファインダー・デジタルカメラのレビューと写真作例

目次

ギャラリー

レビュー

  1. カメラ概要
  2. 使用感
  3. M8.2とM8、M9の違い
  4. 余談
LEICA M8.2
LEICA M8.2 +SUMMARON 28mm

1.カメラ概要

ライカ M8.21(以下M8.2)は、ライカ製デジタルレンジファインダーカメラの1.5代目で、基本的にはM8と同じだ。

  • KODAK製・APS-Hサイズ(レンズ焦点距離の35mm判換算係数は1.33)・1000万画素センサー
  • ローパスレス仕様
  • バッテリーは、Leica 144642
  • 液晶カバーガラスにサファイアガラスを使用
  • 最高シャッター速度は1/4000
  • 最低ISO感度は160、最高ISO感度は2500
  • 新型のコンパクト充電器に変更(型番14470)

ライカはM8ユーザーにたいしてM8.2相当アップグレードを24万円で提供したが、それほど需要がなかったためか、少し時間が経過した後に12万円の半額キャンペーンをおこなっていた。

LEICA(ライカ) (14470) 

2.使用感

撮影画像の画質に関してはM8.2の1000万画素センサーが記録する画像は今でも十分に通用する。
ISO640までは、ノイズは増えるが解像感は失われないので、場面を選べば十分に実用可能だ。ISO1280を超えると少々苦しくなってきて、ISO2500は写っているだけとなる。

ライカ M8(以下、M8)同様のセンサーサイズがAPS-Hであるため、内蔵ファインダーのフレーム枠に対応しないレンズを使用する場合、外付けのファインダーを利用するが、センサー倍率をかけたファインダーを用意する必要があり面倒であった。
例えば、焦点距離15mmのレンズを使用する場合、撮影される焦点距離は15 x 1.33=19.95mmとなるため20mm(ロシアレンズルサール用が20mm)もしくは、21mm(21mmファインダーは、ライカのスーパーアンギュロン、エルマリート向け、フォクトレンダー、カールツァイス、コンタックス、アベノンなど多くの種類がある)のファインダーを使用して構図を決めていた。

バッテリーはライカライカ M8(以下M8)、ライカ M9(以下M9)、ライカ M9-P(以下M9P)と同じ、Leica 14464を採用しており、公称ではフル充電したとき500枚撮影可能で、実際の撮影でも予備バッテリーがいる場面に遭遇したことはほとんど無い。
バッテリー形状は特殊で、互換製品を一時期見かけたが、カメラとの相性問題のためか正常に使えずに返品した記憶がある。

3.M8.2とM8、M9の違い

基本的にはM8のマイナーチェンジ版で、センサー性能はまったく同じで、両者の違いは細かな意匠の変更、サファイアガラスの採用、シャッターの静音化のため、シャッタースピードの上限が1/8000から1/4000のへ低下である。
この最大シャッタースピードは、これ以後のデジタルM型ライカの標準最高シャッタースピードとなる。

カメラの操作もM8とまったく同一で、軍艦部に、電源スイッチ、シャッターダイヤル、背面には設定くらいでしか使わない液晶画面とメニューなどの小さなボタンがある。
M8から引き続いてダイヤルやボタン部品にLEICA Digital Module Rと同じ部品が使われている。

充電器がM8.2からコンパクトな充電器(14470) に変更された。コンセントに接続するプラグ部分は眼鏡状の端子にケーブルを接続する方式で、変圧器を内蔵しており作動電圧を自動調節して電圧の異なる国での使用が可能だ。また、各国仕様のプラグ付きのケーブルが付属しているので、プラグが適合する国であれば使用できる。
旧カメラのM8の充電器は大柄で差し込みプラグが交換式になっており、日本向けを含む3つのプラグが付属していた。

M8.2のシャッター音はM8の耳に残る大きな音に比べると、少し大人しく(甲高い感じが緩和された)なったが、ライカ M typ240(以下、M240)以降のシャッター音と比べると大きな音がする。
M8リリースから2年の進化では、KodakセンサーのUV/IR問題を改善できず、その改善はライカM9(以下、M9)に持ち越される。M9はセンサーのカバーガラスの破損という固有の大きな問題があり、カメラとしてはM240からやっと安心して使えるカメラになったと思う。

M9は35mmフルサイズセンサーを搭載することが大きなトピックで、それをのぞく操作性などについては、M8.2 と大きく変わるところはない。M9の詳細はM9のページを参照していただきたい。

4.余談

それにしても、M8.2M8よりも高価で取引されているが、撮影結果から考えると価格差に見合う価値があるかは疑問だ。基本的にデジタルはほぼ生もので、修理不能のカメラが高値で取引される現状は、若干疑問を感じるところである。部品供給が難しいという面は重々わかるが、ライカくらいの規模であれば、カメラボディを共通にして、センサーをユーザーが選択できるサービスがあってもよいと思うところである。M11のボディにM9センサーが積めるのであれば、むやみに中古に高価格を出す必要もなくなると思う。

数年前にM8.2サファリを適価で購入できる機会があったが、そのときは金銭問題で見送ってしまった。今では市場で見ることも無く、市場に出てもプレミア価格必至なので残念なことをしたと思う。
M-P(Typ240)サファリ、M10-Pサファリと違い、ボディのサファリカラーに赤バッジが付いた意匠はライカマニアの心をくすぐるものであった。D-LUX4サファリが同じような意匠をまとっている。

カメラ概要に記したカメラの有償アップグレードは、日本のメーカーでもごく希に実施される。
カメラの有償アップグレードの微妙なところは、アップグレード価格がそれなりに高価なことと、人気機種であれば下取りにだして新機種を購入する方が、新機種の入手+新たな保証期間を得られるメリットが大きいため、アップグレードしてまで使い続けるメリットが少ないことだろう。アップグレードにも延長保証はつくが、新品保証の方が魅力的なのは当然だろう。また、フィルムカメラと違い、デジタル機器は、基板寿命、センサー寿命、バッテリー寿命など、さまざまな部分で使い捨てられる物であることの影響が大きいと考える。

仕様・比較

モデル名R-D1
R-D1s
R-D1x
M8M8.2M9
カメラ有効画素数6.1-Megapixcels10.3-Megapixels18.0-Megapixels
映像素子不明Kodak KAF10500KAF-18500
センサーサイズAPS-C
23.7 x 15.6mm
APS-H Size
27 x 18mm
35mm Fullsize
35.8 × 23.9 mm 
背面液晶サイズR-D1:2.0
R-D1s:2.0
R-D1x:2.5
2.5
通常ガラス
2.5
サファイアガラス
2.5
通常ガラス
ファインダー倍率10.680.68
最高シャッター速度1/20001/80001/40001/4000
バッテリーEPALB13 Leica 144644
メディアSDSDSDSDHC
リリース年2004.7.302006.112008.92011.6.30
サイズ142.0 x 88.5 x 39.5139 x 80 x 37
重量570g (本体のみ)545585
カラーブラックブラック・シルバー・ホワイトブラック・シルバー・サファリブラック・グレー

オプション

  • LEICA M8/M8.2/M9/M9-P ハンドグリップ(下面カバーを取り替え)
  • サムズアップ

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.07.18
  • 2024.02.20
  • 2023.10.18

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