独創のAFカメラ・G1

CONTAX G1のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー


1.概要
コンタックスG1は京セラが1994年にコンタックスブランドでリリースしたオートフォーカス(以下、AF)35mmフィルムカメラ。
ファインダーは実像式ズームファインダーで、レンズの焦点距離に合わせて視野が可変するが、ピント位置を確認する方法はなく、測距表示とAF合焦マークから判断する。
測光方式は、オートフォーカスレンズはTTL(Through the Lens)実絞り測光(中央重点平均測光)で、マニュアルフォーカスのホロゴン16mmのみ外部測光となっている。
ファインダー倍率は0.57倍、最高シャッター速度は1/2000、電源は3Vリチウム電池のCR-2(CR2)を2本使用する。
2.使用感
G1はカメラとしては自動化が行き届いており、フィルム送り、巻き上げともに自動でおこなわれ、シャッターレスポンスはよく、オートフォーカスが基本なので、とりあえずどこかに合焦するため、カメラを信じて小気味よく撮って現像すると、それなりにピンボケが混じるという結果になる。
AF精度はコントラストがはっきりした被写体ではそれなりに使えるが、一眼レフカメラでも迷う藪越し、フェンス越しに対象物があるシチュエーションは、けっこうな確率でピントを外す。当時も今もメインの被写体である猫はG1にとって厳しい被写体だ。
また、長焦点距離の90mmの合焦精度は多くのシチュエーションでピントを外しており、通常使用するにはためらわれるレンズだ。
ファインダー内にピント位置の距離が表示されるが、撮影者が意図している物体の距離を把握して補正するのは難しい。フォーカス位置の変更はカメラ上部にあるフォーカスダイヤルを回す必要があり、レンズ側ではフォーカス位置を設定できないのは従来のマニュアルカメラ思考には違和感がある。
この操作方法はデジタルカメラ時代の電動パワーズームの操作方法を先取りしていたともいえるが、レンズ交換式カメラがミラーレス時代に入っても、ズームをカメラ側のボタンやレバーで操作する方法が採用されることは少なく、フォーカスの設定はレンズ側でおこなうのが主流なのは周知のとおりだ。
対象への距離が瞬時に判断できるような強者は、ライカ M1をはじめとするファインダーを廃したカメラで、レンズの距離指標をマニュアルで設定して撮影するほうが素早く撮影できる。
自動露出の場合、はホロゴン16mm以外は、TTL(Through the Lens)実絞り測光(中央重点平均測光)を使うため、ネガフィルムを使う場合、ほとんどの場面で問題はない。
リバーサルフィルムを使う場合、野外ではほとんど問題ないが、室内の人物撮影など明暗差が大きいシチュエーションで露出がアンダーになる失敗もしているので、光にムラがある環境下では、ファインダー内に表示される絞りとシャッタースピードが経験的な値と開きがないか注意する必要がある。これはすべてのカメラでも言えることだ。
CONTAX G1はフィルムを30本程度は使用したが、最終的にはM型ライカに移行した。
その際、所有していたGレンズはすべてMs-opticsにてライカMマウントに換装した。
このように、カメラのAFセンサーで撮影者の意図通りにピントを合わせるのは困難であるため、2025年現在このカメラを使おうと考えた場合、歩留まりの悪さをどこまで許容できるかを考える必要がある。
歩留まりの要因となるのは以下の3つが代表的で、項目下の表記に合致する場合、G1を使っても後悔は少ないと考える。
- 撮影する被写体
- 主な被写体はコントラストがはっきりている。
- 主に使うレンズの焦点距離
- 28mm以下をよく使う。
- 主に使うフィルムのISO感度
- 高いISO感度のフィルム+レンズの絞りはF5.6以上を使用する。
2010年代のように、CONTAX G1の価格が低いときは、気軽にカメラの購入もできた2020年代に入りボディ、レンズともに価格が上昇しているため、あえてCONTAX G1を選ぶ際は、自身の撮影スタイルに合っているかよく考える必要がある。
3.付加情報
京セラは一眼レフカメラのAF化に遅れをとったため、ミラーを持たないカメラシステムに測距システムを組み込まず、AFに代替させるといういささか強引な方法でカメラシステムを構築することを選択したのが、CONTAX Gシリーズである。
この選択はG1、G2で終わってしまったので成功したシステムとは言いづらいが、根強いファンがおり、カメラ、レンズともに中古市場では存在感がある。
G1、G2に共通するチタンゴールドの外装は手触りもよく所有と使用する満足度は高かった。デザイン的にはG1とG2は似ているが、G1はカメラとして必要最低限の機能を装備してスッキリとしたミニマルなスタイルが個人的にはとても好みだ。
G1で使用可能なレンズは、カメラリリース時に16mm、28mm、45mm、90mmの4本がリリースされ、必要な焦点距離のレンズは揃っている。一眼レフカメラと比べると少し寂しいレンズラインナップだが、普通に写真を楽しむならこれだけあれば十分だろう。
G2とともにリリースされた、21mm、35mmレンズを、G1で使うためには、メーカーによるG1ボディのアップデートが必要で、アップデート後の個体にはフィルム室に緑のラベルが貼られている。
バリオ・ゾナー 35-70ズームレンズは残念ながらG2専用レンズでG1では使用できない。

仕様
項目 | CONTAX G1 | CONTAX G2 |
ファインダー | 実像式ズームファインダー | 実像式ズームファインダー |
ファインダー倍率 (無限遠、45mm、視度-1D) | 0.57倍 | ← |
視野率 (無限遠、45mm、視度-1D) | 90% | ← |
AF方式 | パッシブ コンティニュアス非対応 | パッシブ/赤外線アクティブ併用 コンティニュアス対応 |
連続撮影速度 | 秒2コマ | 秒4コマ |
シャッター | 電子制御・縦走行フォーカルプレンシャッター | ← |
シャッター速度 | 1/2000〜16秒(絞り優先) 1/2000〜1秒(マニュアル) | 1/6000〜16秒(絞り優先) 1/4000〜1秒(マニュアル) |
バッテリー | CR2-3V 2本 | ← |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 133 × 77 × 42 | 139 x 80 x 45 |
重量(g) | 460 | 560 |
定価 | 143,000円 | 163,000円 |
コンタックス G 専用レンズ リスト
焦点距離 | 名称 | リリース年 |
16mm | HOLOGON 16mm | 1994年 |
21mm | BIOGON 21mm | 1996年 |
28mm | BIOGON 28mm | 1994年 |
35mm | PLANAR 35mm | 1996年 |
45mm | PLANAR 45mm | 1994年 |
90mm | SONNAR 90mm | 1994年 |
35-70mm | VARIO SONNAR 35-70 | 1999年 |
オプション
- マウントアダプター GA-1
- データバック GD-1
- パワーパックアダプター GP-1
- パワーパック P-8
- フラッシュ TLA140
- フラッシュ TLA200
参考リンク
更新履歴
- 2025.2.21
- 2024.7.31
- 2024.1.25
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