HASSELBLAD X1D-50c 4116 editionのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー


1.概要
HASSELBLAD X1D-50C / 4116 editionは、無印が2016年10月リリースされ、4116 editionは2017年1月末にリリースされた、中判デジタルセンサー(44 x 33mm)を搭載したミラーレスデジタルカメラ。
X1D-50Cはグレー、X1D-50C 4116 editionはブラックで、両社の違いはボディ色だけだ。
詳細な仕様は表に載せているが、主な仕様を抜粋すると以下の通りである。
- センサー画素数:5000万画素
- センサーサイズ 44 x 33 mm
- 液晶ビューファインダー / 約236万画素
- 3.2インチ・92万画素TFTディスプレイ
- SDXC対応・SDカード デュアルスロット
- カメラにシャッター機構無し
- ファームウェア1.17.2からセンサーシャッター利用可能
- カメラ起動時間:約5秒
2.使用感
X1D-50C /4116 editionを手して驚いたのは、カメラにシャッター機構を持たないカメラはこれほど軽く小さくつくれることだ。購入時に付属してきたXCD 45レンズを付けた状態でも、多くのミドルレンジ・デジタル一眼レフカメラよりは小さく軽い。
後にリリースされる、XCD 45Pを装着すると、ライカQを一回り大きくした程度のカメラで、5000万画素、44mm x 33mmセンサーを扱えることは技術の進化とカメラコンセプトの優秀さ実感した。
カメラ外観は絶賛するが、カメラ自身としては未完成の部分が多く、とくに起動が遅いことは、撮影機会の点から致命的な弱点となる。
電源を落としてから、電源ボタンを押してから撮影可能になるまで5秒〜6秒程度待たされるため、撮りたいと思った瞬間を捉えることは極めて難しい。
電源入れっぱなしでスリープ機能使用しての運用は、スリープ時もそれなりに電気を使っているようで、電池の減りが早いことと、ボディが熱くなるので積極的に使う気にはならなかった。
せっかくのコンパクトなカメラシステムをフィールドで軽快に使いこなす用途には向いておらず、暑い季節の野外ではカメラの熱暴走も経験した。
三脚に付けとの物撮りや、静止した風景撮影など、速写性が求められない用途には、X1Dの精細な画像が向いている用途の一つだ。
ボディとレンズ1本では寂しいので、XCD 21mmは購入して使っていたが、ハッセルブラッド Hシリーズレンズの最広角レンズ HCD24mmを入手したときにこちらは売ってしまった。
ボディに付属してきたXCD45mmはXCD45mmPを購入したときに売ってしまい、XCDレンズで手元に残っているのは、XCD28mmPとXCD45mmPだけだが、この2本があれば通常撮影で不自由することはない。望遠側に焦点距離を変えたいときはハッセルブラッド Hレンズを使っている。
さすがに進化途上のデジタル製品は最新版が良いと実感したので、X2Dは発売直後に買うことにした。
X2Dは3代をへて着実な進化を感じているところである。それでもX2Dで並のカメラレスポンスなので、機能的にはのんびりしたシステムだ。
3.付加情報
X1D 4116 editionは筆者が初めて購入したハッセルブラッドのボディで、X1D 4116 editionを選んだのはX1DIIが発売されてから、X1Dの中古価格が下がってきたところでXCD45mmレンズとX1D 4116 editionボディセットをX1Dボディ単体と同じくらいの価格でみつけたらからだ。入手した4116 editionのカラーリングは最高にかっこいい。
XCDレンズはそれなりに価格がするため、価格のこなれているハッセルブラッド Hシリーズ レンズを使用している。
XCDレンズは望遠レンズがラインアップされていないため、200mmを越える望遠に関してはハッセルブラッド Hシリーズレンズを使用する。
望遠レンズを使用したエピソードとしては、Hシリーズレンズの中でもっとも長焦点のHC300mm F4.5にH x1.7 テレコンバータを装着して、合計焦点距離510mmのレンズで白樺峠の鷹にチャレンジした。しかし、カメラとレンズの電気接点不良により、鷹の撮影時にレンズを上に振り上げるとカメラにリセットがかかる症状によりまともに使えないという悲しい思いをした。
峠から帰京後に、不良の原因究明をハッセルブラッドにお願いすると、レンズ側の問題とX1D 4116 editionのマウント部電気接点の不良とのことで、レンズは返品しカメラは結構な金額を払って修理した。
ハッセルブラッドXシリーズの焦点距離について説明すると、X1Dのセンサーサイズは44mm x 33mmと35mmフルサイズセンサーよりも大きいため、撮影時の焦点距離は次のように変化する。
- XCDレンズは35mm焦点距離を0.8倍した焦点距離となる。
- ハッセルブラッドHシリーズレンズを XHレンズアダプターを使ってカメラに装着すると、35mm焦点距離を0.8倍した焦点距離となる。
- ハッセルブラッドHシリーズレンズを XHコンバーター x0.8を使ってカメラに装着すると、コンバーターによってレンズの焦点距離は0.8倍拡大され、さらにセンサーサイズの拡大係数0.8が加わるため、合計0.64倍の焦点距離となり、ほぼ中判フィルムサイズの焦点距離となる。
- ハッセルブラッド HCDレンズは中判フィルムサイズにたいしてイメージサークルが小さいためこの組み合わせで撮影すると、画像周辺部にケラレを生じる。ケラレ部分はPhocusが自動的にトリミングしてくれる。ケラレの外側画像も保存されているためPhocusで復元することもできる。
X1Dはミラーレスカメラでカメラのフランジバック(レンズとボディの結合部であるマウント面から撮像面までの距離)が短いため、マウントアダプターを使用すると様々なレンズを取り付けることができる。しかし、前述のようにカメラ側に機械シャッターはなく、レンズシャッター機構を持たないレンズではカメラのセンサーシャッターで撮影することになる。
X1Dのセンサーシャッターは、最近のミラーレスカメラのようにローリングシャッター歪みを低減させる対策がされていないため、列車や動物など被写体が高速に動くものは被写体ブレに中が必要だ。
また、カメラが画像処理中しているとき、カメラを動かしたことによる撮影画像の揺れはにも注意が必要である。
この現象はシャッター速度に関係なく、画像転送処理中にカメラを動かすと撮影結果がゆがむため注意が必要である。速いシャッター速度で撮影した場合でも一呼吸置いてから次の撮影に臨む必要がある。

仕様
項目 | X1D 50C / 4116edition | X1DII 50C | X2D 100C |
カメラ有効画素数 | 5000万画素 8272 × 6200ピクセル 5.3µm | 5000万画素 8272 × 6200ピクセル 5.3µm | 1億画素 11656 × 8742ピクセル 3.76μm |
センサーサイズ | 43.8 × 32.9mm | 43.8 × 32.9mm | 43.8 × 32.9mm |
レンズマウント | ハッセルブラッド・Xマウント | ハッセルブラッド・Xマウント | ハッセルブラッド・Xマウント |
撮像素子 | CMOS | CMOS | BSI型(裏面照射型)CMOS |
フォーカス | CD(コントラスト)AF | CD(コントラスト)AF | PD(位相差)AF&CD(コントラスト)AF |
EVF | 液晶ビューファインダー / 約236万画素 | 有機ELビューファインダー / 約396万画素 | 液晶ビューファインダー / 約576万画素 |
背面ディスプレイ | 3.2インチ・92万画素TFTディスプレイ | 3.6型約236万ドット | 3.6インチ・236万画素TFTディスプレイ |
液晶稼働 | 固定 | 固定 | 2段階 (40°/70°)チルト式 |
記録メディア | SDカード デュアルスロット | SDカード デュアルスロット | 内蔵1TB-SSD CFexpress type-B |
バッテリー | 付属バッテリーは3200mAh | 付属バッテリーは3400mAh | リチャージブルバッテリー 3400mAh (Xシステム用) |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 148 × 97 × 70 | 148 × 97 × 70 | 148.5 × 106 × 74.5 |
重量(g) カメラのみ | 650 | 650 | 790 |
オプション
- Hasselblad リチャージブルバッテリー 3400mAh (Xシステム用)
- Hasselblad BATTERY CHARGING HUB
- XVレンズアダプター
- XHレンズアダプター
- XHレンズコンバーター 0.8
- X1D用 レリーズコード Release Cord X
- Tripod Mounting Ring (75mm)
レンズ
焦点距離 | 35mm判換算焦点距離 | 名称 | 開放F値 | Note | |
20-35mm | 16-28mm | XCD 3,2-4,5/20-35E | 3.2-4.5 | 2024.9.10 | 現行 |
21mm | 17mm | XCD21 | 4 | 2018.5.31 | 終売 |
25mm | 20mm | XCD25V | 2.5 | 2024.5.7 | 現行 |
28mm | 22.4mm | XCD28P | 4 | 2023.9.4 | 現行 |
30mm | 24mm | XCD30 | 3.5 | 2017.1.30 | 終売 |
35-70mm | 28-56mm | XCD35-70 | 3.5-4.5 | 2020.2.28 | 終売 |
38mm | 31mm | XCD38V | 2.5 | 2022.9.9 | 現行 |
45mm | 36mm | XCD45 | 3.5 | 2016.12.31 | 終売 |
45mm | 36mm | XCD45P | 4 | 2020.1.31 | 現行 |
55mm | 44mm | XCD55V | 2.5 | 2022.9.9 | 現行 |
65mm | 52mm | XCD65 | 2.8 | 2019.2.1 | 終売 |
75mm | 60mm | XCD75P | 3.4 | 2024.11.7 | 現行 |
80mm | 64mm | XCD80 | 1.9 | 2019.1.11 | 終売? |
90mm | 72mm | XCD90 | 3.2 | 2016.12.31 | 終売 |
90mm | 72mm | XCD90V | 2.5 | 2023.12.21 | 現行 |
120mm | 96mm | XCD120 macro | 3.5 | 2017.12.10 | 終売 |
135mm | 108mm | XCD135 | 2.8 | 2019.3.24 | 終売 |
230mm | 184mm | XCD135 x1.7 | 4.5 | 2019.2.27 | 終売? |
9mm延長チューブ |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2025.3.16
- 2024.03.05:改稿
- 2024.02.13:改稿
- 2022.09.03:初稿
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