SUMMILUX R 50mm E55 (旧型・後期)

SUMMILUX R 50mm E55 (旧型・後期)

鏡筒デザインが変更されレンズフードを内蔵した、LEICA SUMMILUX R 50mm F1.4 (旧型・後期)をLEICA R8とLEICA SL Typ601などで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

LEICA SUMMILUX 50mm 旧型・後期 (以下、呼称は「後期」とする)は型番は2種類あり、1978年に旧型・前期からリニューアルされた3-CAMレンズ(オーダー番号:11776)と、今回紹介するR-CAM ROM端子付きレンズは1989年(オーダー番号:11777)以降にリリースされたレンズ。

レンズ構成は1970年に初リリースされた、旧型・前期=Typ1(オーダー番号:11875)(オーダー番号:11876・サファリカラー)(以下、呼称は「前期」とする)と同じである。
前期と後期をまとめるときは、「旧型」と呼称する。旧型のレンズ構成は6群7枚のオーソドックスなダブルガウス型で、レンズ構成は共通だがレンズコーティングは製造年代によって異なると考えられる。
新型と呼ばれるSUMMILUX R 50mm (オーダー番号:11344)はレンズ構成を一新しフィルターサイズが60mmになっている。

紹介する後期のフィルターサイズは一般的な55mm径のネジ込みを採用している。それに対して前期はフード内側にシリーズ7と呼ばれるネジ無しのドロップインフィルターを落とし込んで、レンズ前枠とフードでフィルターを挟み込む。

前期は1,2、3-CAMで製造されROM端子付きは改造したレンズ以外はない。後期は3-CAM、R-CAM、R-CAM+ROM端子がリリースされている。

レンズカラーは前期がブラックとサファリ、後期はブラック、サファリ、プラチナとゴールド(オーダー番号:11888)がある。

2.使用感

SUMMILUX R 50mm 旧型・後期は、製造年代的にフィルムカメラとの相性がよく、デジタルカメラでの絞り開放の描写は先鋭感、解像感が現代レンズと比べると劣ると感じられる。これはある程度絞り値を大きくすることで改善がみられる。それでも現代レンズのような開放からキレキレの描写では無い。

逆光耐性はそれほど良くなく、組込フードは引き出しても長さが短いため、有害光線を効果的にカットをすることができていない。

前述の欠点がありつつも、E60のズミルックス R 50mmと変わらないくらい愛するレンズの一つだ。
ズミクロン R 50mmと比べると、レンズ枚数が多い分だけレンズ重量が100g増えており、手に持ったときの塊感は心地よい。最近のプラ主体のレンズでは味わえない物としてのよさがある。

このレンズは所有していこうずっと手元にあるのでさまざまなカメラで使用している。

LEICA SL Typ601で使用する際は、マウントアダプターに純正のLEICA R-Adapter-L (16076) を使用していた。このアダプターを使うとRマウントのROM端子付きレンズは、カメラ側にいくつかの情報を伝えることができる。

また、Eye-resと呼ばれる440万ドットの液晶ビューファインダーは絞り開放時においてもピント位置を的確に掴むことができた。また、実絞りレンズにおいて絞りを絞った際はカメラ側が自動的にEVFの明るさを調整するため、一眼レフカメラでは実絞りレンズでは暗くなるファインダーと異なって撮影しやすさというアドバンテージがある。

LEICA R8を使用したフィルムカメラの作例として、白黒フィルムで撮影した猫をあげている。スキャンの結果にもよるが陰影のコントラストとボケの滑らかさがよく感じられる。

LEICA R8をデジタルカメラにアップデートするDigital module R、通称DMRの結果をみると、猫の毛の質感がよくでており、背景が飛び気味なのは露出が若干オーバーしているからだ。

SONY α7Siiの撮影結果は画素ピッチの余裕から、暗部に色が残っていることがよくわかる。これはレンズとカメラ両方の特性のたまものだろう。

CANON EOS 1Ds Mk-IIIEF/EOS-LEICA Rマウントアダプターを介して使用したところ、画面全体をフラットで精緻な描写をしており、周辺部の乱れも少ない。2000万画素クラスのセンサーには十分に対応できている。

また、一部のRマウントレンズは35mmフルフレームセンサーを搭載したEOSは、撮影時にレンズエラーを起こすことがあるけれど、本レンズはEOS-1 Ds MKIIIで問題なく使用できた。

また、眼鏡ユーザーにはピント山のつかみに少々厳しい印象のある、EOSのファインダーで撮影した印象は、絞り開放のF2においてもピントの山はつかみやすくピント位置の合焦に問題はなかった。そして、撮影結果の歩留まりもよいものだった。実絞りで使用しているため、F値を絞るとファインダーが暗くなるのは一眼レフカメラの構造的問題で仕方が無い。

一部のRマウントレンズは35mmフルサイズセンサーを搭載したEOSでは、レンズエラーを起こすことがあるが、本レンズはEOS-1 Ds MKIIIで問題なく使用できた。

CANONデジタル一眼レフカメラでLIECA Rマウントを使用した際の互換性結果は以下のページに記載がある。

LEICA CLはAPS-Cサイズセンサーを搭載したカメラなので、レンズ中央部の描写の良いところだけを使えるため、ピント位置の中央部の猫の毛がキチンと解像していることがわかる・

SONY α NEX-5 の作例は、KIPONのBAVEYE x0.7 フォーカルレデューサーを使用した撮影結果で、フォーカルレデューサーは、35mm判より小さなセンサーを搭載したカメラに装着することにより、センサーの係数分長くなった焦点距離を、マウントアダプターの補助レンズで拡大することで焦点距離を短くする。SONY α NEXの場合は、焦点距離50mmのレンズではセンサーサイズによって1.5倍の75mmになるところを、フォーカルレデューサーの0.7倍をかけることにより、52.5mmの焦点距離になるのだ。この拡大レンズの影響によって、周辺部の描写は乱れがちになるけれど、本作例のように周囲が暗い場合は、乱れが気になることは無い。中央部は元レンズの良いところをしっかりと受け継いでいる。

HASSELBLAD X2D-100C 中判デジタルミラーレスカメラにNOVOFLEX HAX/LER (Leica R lenses to Hasselblad x 1d Camera)マウントアダプターを介して使用した。
作例でも確認できるとおり、空を撮影すると周辺部に少し減光がみられ、風景では周辺部に描写の崩れが認められる。しかし、それらも撮影状況によっては十分に許容できるため、焦点距離40mm相当のレンズとして使用することができる。これはセンサーサイズが同様のフジフィルムGFXシリーズでも同じ結果が得られると考える。

また、この結果からレンズは35mm判を越えるイメージサークルを持っており、35mmフルフレームセンサー搭載カメラであれば周辺部まで十分な画質が期待できる。

3.まとめ

結論としてSUMMILUX R-E55をまとめると、サイズはSUMMICRON R 50mmとほぼ同じでありながら、1段明るい絞りが使えるため使用場面が広がる。絞り開放においても過剰にフワフワした描写では無いため、シャッタースピードが許せば日中でも絞り開放で使え、柔らかなボケが楽しめる。

仕様・考察など

旧型は新型と比べると生産数が多く入手しやすいレンズだ。製造年数は17年と期間が長いためレンズ状態がレンズ毎に大きく異なる。購入する際はレンズ状態を確認して価格と品質のバランスがよいレンズを見極めたい。

この製造年代のズミルックスはレンズコーティングは琥珀色、1992年にリリースされたMマウントのズミルックス 50mmの最終非球面も同様のコーティング色で美しかった。しかし、コーティングの効果は完璧ではなく、逆光時に被写体周辺にパープルのフリンジが目立つ場合もある。

入手難易度は高いけれど、Rマウントの SUMMILUX 50mmは、最終形態のフィルター径60mmのモデルが描写においても、一段上の写りをする。

Before imageAfter image
項目SUMMILUX R E55SUMMILUX R E60
焦点距離(mm)5050
最大絞り1.41.4
最小絞り1616
絞り羽根68
レンズ構成6群7枚7群8枚
最短撮影距離(m)0.50.5
レンズ長(mm)50.651
レンズ最大径(mm)68.570
フィルター径(mm)5560
重量(g)395490
リリース年1989~1995(モデル11777)1997~2005
製造本数4,149(11777)
35,322(すべて)
2,700
*:LEICA WIKIの数字を引用

参考情報

更新

  • 2025.5.4
  • 2024.12.16
  • 2024.02.16:改稿
  • 2022.02.07:初稿

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