史上初FF LEICAデジタルRF M9

35mmフルフレーム(FF)センサー搭載 ライカ M9、デジタル レンジファインダー(RF)カメラのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影に使用したレンズは、ライカ ELMAR M 50mm、APO SUMMICRON M 75mm、SUMMAR L 50mm、フォクトレンダー ノクトン 50mm F1.1
レビュー


1.カメラ概要
ライカ M9(以下、M9)はM型デジタルカメラとして初めて35mmフルサイズセンサーを搭載したMマウントデジタルカメラ。
デジタルカメラの心臓部であるイメージセンサーは、コダック製、1800万画素・35mm判フルサイズ (35.8x 23.9mm)CCDセンサー、KAF18500を搭載している。
このセンサーのセンサーピッチはライカ M8、M8.2と同間隔を維持しながら、センサー面積を35mm判フルサイズに拡大することにより、1800万画素に画素数が増加している。
ボディサイズと操作部分はライカ M8と同様で、M8、M8.2との違いは、以下の3点が主なものだ。
- ボディ内のIRカットフィルターが強化され、レンズ側にUV/IRカットフィルターの装着が不要
- レンズ焦点距離の手動入力
- 肩部の撮影枚数カウンターが省略
IRカットフィルターの強化は、ユーザーにとってとても喜ばしい改善であり、この改善によって、UV/IRカットフィルターの装着というわずらわじい手間無しに撮影に専念できるようになった。
本来であればM8もこの状態でリリースすべきであったことは、間違いないであろう。M8時代に色かぶり対策のために集めたUV/IRカットフィルターへの投資がほぼすべて無駄になったことも残念ではある。
また、この対策をしたことが後述するセンサー剥離問題の一端になっていると推測される。原因は各所にてさまざま推測されているが、ライカ公式から正確な原因についてのアナウンスがないため、公式情報はないと認識している。
M9はレンズ焦点距離をメニューから入力できるようになり、入力しておけば、6bitコードのないレンズでもカメラへ焦点距離の情報伝達ができるようになり、撮影画像への焦点距離の記録、画像補正が利用できるようになった。
しかし、手動入力の場合は複数レンズで撮影しているとき、レンズ交換時に焦点距離の設定を忘れると異なった情報が記録される危険性がある。その点、6bitコードであればレンズを交換たさいに、カメラが自動的にコードを読み込んで正しい値にセットされるためその心配はない。
撮影枚数カウンターは2桁表示で99までしか表示できなかったため、M9で採用された大容量のSDHC メモリーカードは、32GBのカードを利用すると、Raw(DNGファイル)データは圧縮で約18メガバイトなので、32ギガバイトのSDHCカードではRawのみ撮影にすると1600枚程度撮影できるので、枚数カウンターは不要と判断されたのだろう。
記録メディアにSDHCカードを採用したため、小容量のSDカードよりも入手性がよくなり、2024年現在も新品が手軽に入手できるのはありがたい。
バッテリー、グリップなどオプション類はM8、M8.2と共通であり、システムに継続性があるのはユーザーにとってはありがたいことだ。充電器はM8.2と同様のコンパクト充電器(14470)がひきつづき同梱されている。
M9は500台限定でチタン外装で専用のズミルックス35mm F1.4が添付されたチタンセットなど、いくつかの限定バージョンが販売された。
2.使用感
M9は35mmフルサイズセンサーを搭載したため、従来のライカMのオプションがほぼそのまま利用可能となった。とくに、広角レンズにおける外付けファインダーにレンズ付属のファインダーが利用できることは大きな利点であろう。M8,M8.2では35mm判換算した祭の焦点距離を持つファインダーを用意する必要があり面倒であった。
LEICA Mマウント 6bitコード検出機構は、メニューから焦点距離の入力が可能となり、
搭載している1800万画素は必要十分で、現在主流のCMOSとは味わいの異なるCCDの特徴的な描写をするため、今も人気があるのはわかるが、カメラ不足による価格高騰と、先のセンサー問題により積極的には選択しづらいカメラだ。
LEICA M9系はシャッター機構は最大シャッタスピード1/4000のM8.2と同じ機構を踏襲しているようで、センサーサイズは大きくはなったがシャッター音質はほぼ同じだったと記憶している。
容量の小さいSDカードを使用して、残撮影枚数を気にしながら撮影するのはフィルムカメラライクで独特の緊張感があり楽しいと感じる。
3.付加情報:センサー剥離問題
発売から少しして保証付きのブラックモデルを中古で入手し、保証期間末期にセンサー表面のカバーガラス剥離問題(縮めて、センサー剥離問題)を経験した。幸いにしてライカ公式保証期間中だったので、購入先に相談して修理に出したとこころ、修理完了まで半年程度と随分時間がかかったと記憶している。修理に出したときはライカから代替品としてM8を借り受けた。
この問題はリコールに発展するような大問題だとは思わず、当時はこんなこともあるのか、運が悪かったなと思ったわけだが、改修にはかなりの予算がかかるようで、センサー剥離問題への対応が公式にアナウンスされてからも無償対応は有効保証期間の場合のみだったはずで、有償での対応も部品枯渇により2020年8月で終わった。現在は中国などで、この問題に対する有償のリペアサービスをしているところがあるようだ。
このように、M9は使い続けるかぎり、どこかのタイミングでこの症状が発生する。先述のとおり原因についてはライカ公式からの発表がないため真相は藪の中である。
この問題については各所で考察されており、いくつか原因は考えられるが、個人的にはセンサーにかかる熱によって部品が膨張と収縮を繰り返すことのストレスにカバーガラスの接着面が耐えられなかったのではないかと推測している。
現在市場には、未対策品と対策済みが混じった状態で売られてカオスな状況にある。問題に対処されているカメラかは、ある程度の見分け方はあるようだが、絶対の方法は無く手を出すのは危険なカメラだと感じる。
破損、剥離したガラスを張り替えるキットも売られているが、素人に作業が出来るのかは不明である。センサーにアクセスするためには基盤を取り出す必要があり、カメラには機械的に繊細な機構があるため、基盤を取り出す際にバラし方を間違えると取り返しが付かないと思われる。
後発のM9-P、LEICA M-Eも非対策状態で販売されたようで、コダックCCDのセンサー剥離問題はLEICA S2 / S Typ006 / S-Eなども含め、かなりやっかいな問題だ。
後年購入した、LEICA Sシリーズにいたっては、中古を2台で購入して2台ともセンサー剥離問題にやられた。詳細は別ページに載せている。
仕様・競合カメラ比較
モデル名 | M9 | M8 | R-D1x |
カメラ有効画素数 | 18.0-Megapixels | 10.3-Megapixels | 6.1-Megapixcels |
映像素子 | KAF-18500 | Kodak KAF10500 | 不明 |
センサーサイズ | 35mm Full frame 35.8 × 23.9 mm | APS-H Size 27 x 18mm | APS-C 23.7 x 15.6mm |
背面液晶サイズ | 2.5 インチ 23万画素 | 2.5 インチ 23万画素 | 2.5 インチ 23万画素 |
ファインダー倍率 | 0.68 | 0.68 | 1 |
最高シャッター速度 | 1/4000 | 1/8000 | 1/2000 |
バッテリー | Leica 14464 | Leica 14464 | EPALB1 |
メディア | SDHC | SD | SD |
サイズ mm | 139 x 80 x 37 | 139 x 80 x 37 | 142.0 x 88.5 x 39.5 |
重量 g(本体のみ) | 585 | 545 | 570 |
リリース年 | 2011.6.30 | 2006.11 | 2009 |
カラー | ブラック・グレー | ブラック・シルバー・ホワイト | ブラック |
オプション
- LEICA M8、M8.2、M9、M9-P、M-E ハンドグリップ(下面カバーごと取り替え)
- サムズアップ
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.8.14
- 2024.06.11
- 2024.02.19
- 2023.04.26
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