時代遅れの広角ズーム VARIO ELMAR R 21-35 ASPH.

時代遅れの広角ズーム VARIO ELMAR R 21-35 ASPH.

VARIO ELMAR R 21-35 ASPH.のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影は、
    • Leica R8 +DMR(Digital Module R)
    • LEICA M-P Typ240
    • LEICA R8 +COLOR NEGAFILM FUJIFILM 100
    • LEICA SL typ601

レビュー

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LEICA VARIO ELMAR 21-35
LEICA VARIO ELMAR 21-35 +R8 +DMR

1.概要

バリオ・エルマー 21-35mm ASPHは、2001年にリリースされた、ライカRマウントの広角ズームレンズ。

主な仕様はレンズ構成 8群9枚、非球面レンズを採用しており、最短撮影距離 0.5m、絞り羽根 6枚。

所有しているレンズはROM端子付きで、ライカ純正のマウントアダプター Leica R-Adapter L(16076)とライカ純正のLマウントカメラ、APSC-CセンサーのLEICA T / TL / TL2 / CL、35mmフルサイズセンサーのLeica SL / SL2 / SL2-S / SL3は焦点距離、絞り値、撮影距離をカメラに伝えることができる。

2.使用感

バリオ・エルマー 21-35mm ASPHは、その名前のとおり、焦点距離21mmから35mmをカバーしている。2010年台後半のメジャーな広角ズームレンズは開始焦点距離は15mm、16mmスタートでより広角になっており、開始焦点距離が21mmというスペックは広角レンズとしては時代遅れの感がある。しかし、ライカRマウントにおいては貴重な広角をカバーするレンズ。

本レンズより広角のレンズは単焦点の19mmか15mmで、スーパーアンギュロン R 21mmが最新型に更新されておらず写りには不満があり、コンパクトで軽いこのレンズはさまざまな撮影シーンで重宝する。

本レンズのいまいちなところは最短撮影距離が0.5mであと一歩が踏み込めないレンズだ。
35mmの焦点距離でよく採用される0.3mまで寄れたら完璧なのだが残念だ。
このレンズは壊れてしまったR8+ DMR(Digital Module R)でよく使っていた、DMRのセンサーサイズの都合から1.37倍の係数がかかるため、28mm-50mmの標準的なレンズとして重宝していた。

このレンズのフードは回転して爪で引っかける方式で、フード、爪、すべてがプラスチックなので破損しやすい、30cm程度のテーブルから畳に落下させてフードを破損させた経験がある。そのときはフードの爪が落下の衝撃を全部持っていってくれたようでレンズは無事だったので、これはこれでありなのかもしれない。その後新品のフードをアメリカから結構な値段で輸入して購入した。その店は何個か在庫をしていたようで、どうせなら複数個買っておけばよかったと後になって思った。その店でもすでに本フードはソールドアウトになっているため、今のフードを破損するわけにはいかない。

LEICA R ROM端子付きレンズ

ライカRのROM端子付きズームレンズは8本ある。
このレンズのように焦点距離、絞り値、撮影距離の3つを伝えるレンズは把握している限りで以下の3つだ。

同じズームレンズでも、バリオ・エルマー 105-280(F4.8)バリオ・アポ・エルマリート 70-180(F2.8)は、LEICA SL typ601で使った限りではどの焦点距離で撮影してもワイド端の焦点距離がexifに情報として記録された。

バリオ・エルマー 28-70は入手したときに、LEICA SL系、CLボディが無かったので不明、じつはライカTでも記録できるので試しておけばよかったがレンズはすでに手元に無い。
バリオ・エルマリート 28-90(F2-F4.5)、バリオ・エルマリート 35-70(F2.8)は入手したことがないので不明である。

マウントアダプター経由での使用

本レンズもEOS-1Ds MK-IIIでは、Err20でまともに使用できないことがわかった。エルマリート R 19mm、エルマリート R 24mm、ズミルックス R 35mmと同様に後玉の出っ張りがカメラ側の異常を示すセンサーに引っかかっているようだ。手持ちの広角レンズでEOS-1Ds MK-III使えているのは、エルマリート R 28mm 後期型のみである。

デジタル中判カメラのHASSELBLAD X2DとFUJIFILM GFXシリーズは、焦点距離35mm(x0.8で28mm相当)と28mm(x0.8で22.4mm相当)は44mm x 33mmのイメージサークルがカバーしている。焦点距離35mmはズミクロン R 35mmよりも周辺部は使える印象だ。ワイド端の21mmは四隅でけられ周辺部がかなり甘くなる、21mmの焦点距離はそのまま21mmが使用できる限界のようで、きちんと35mm判向けにで設計されていることがわかる。
28mm以上の焦点距離は21mmをカバーするためにイメージサークルを広めにとっていることがよい影響になっていると考えられる。

以下は、HASSELBLAD X2Dで21mm,28mm,35mmの焦点距離で撮影した結果で、21mmはマスク部分はイメージサークルが足りていないことを示している。

3.まとめ

結論としてVARIO ELMAR 21-35mm ASPH.をまとめると、最新のズームレンズと比べると仕様は劣るけれど、描写性能は実用には十分であり、撮影範囲の狭さを撮影者が補うことによ今でも十分に使えるレンズだ。

ROM端子付きは、純正のマウントアダプターとライカ社製Lマウントカメラの組み合わせて、撮影情報を記録できることも良い点だ。この仕様は他のLマウントカメラメーカーとも情報を共有して対応してもらえるとなおありがたい。

仕様・シリーズレンズ比較

  • レンズ構成図は各社の配付資料から引用し、サイズはこちらで調整しているため厳密ではない。
Before imageAfter image
21mm
35mm
レンズ名VARIO ELMARVARIO ELMARVARIO ELMAR
焦点距離(mm)21-3535-7080-200
最大絞り3.5-44
最小絞り22
絞り羽根枚数6
レンズ構成8群9枚7群8枚8群12枚
最短撮影距離(m)0.50.5
(0.26 macro)
1.1
レンズ長(mm)66.37946
レンズ最大径(mm)757462.5
フィルター径(mm)676060
重量(g)5005051020
レンズフードプラスチック爪
12438
ねじ込み
12437
組み込み
製造本数*13,400(2005まで)8,680(2005まで)14,350(2005まで)
リリース年2001-1996-1995-
*1:数字はライカWikiより転載

参考リンク

更新

  • 2025.4.26
  • 2025.1.15
  • 2024.03.09:改稿
  • 2023.03.23:初稿

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