VARIO-APO-ELMARIT-R 2.8/70-180
ライカ製ズームレンズ、VARIO-APO-ELMARIT-R 2.8/70-180をデジタルカメラで使用した記録。
目次
<ギャラリー・ESO1DsMKIIIによる実写>
<レンズの印象>
ライカオリジナルのズームレンズ、時代のトレンドに合わせて全焦点距離で同絞りのズームをリリースしていた。
R型ライカレンズでは、製品終盤のVARIO-ELMAR 21-35/ VARIO-ELMARIT 28-90はF値が変化する。
ミラーレス時代になってからのズームレンズは、焦点距離でF値が変動するのは当たり前(そりゃ同じ口径で焦点距離が変わればF値は変わる)だと明言し、SLシリーズではVARIO-ELMAR / VARIO-ELMARITシリーズを3本(16-35/24-90/90-280)、TLシリーズは3本のズームレンズをリリースした。
その後、シグマOEMで全域F2.8のズームレンズ(24-70)を商品ラインに加えており、F値通しのズームレンズにニーズがあることは理解しているようである。
全焦点距離で同絞りのズームレンズは日本メーカーが得意とするところで、同程度のスペックのズームレンズは日本製の場合は高くても20万円程度だが、本レンズの中古価格はその倍から3倍程度である(国内流通本数が少ないため、ショップの中古価格は常に強気だと思われる)。この記事を書いている時点ではebayで30万円くらいから出ているので、世界的には価格が下落している印象がある。
本レンズの最短撮影距離は全域で1.7mと180mmの仕様に縛られているのは残念なところだ。比較的新しい日本メーカーのF2.8ズームレンズは最短撮影距離が1.2m程度の製品がリリースされているので、スペック的には見劣りしてしまう。
回転式ズームレンズの場合、合焦位置を合わせるピントリングと焦点距離を合わせるズームリングの二つのリングがレンズにあり、本レンズは手前がズームリング、前方がピントリングになっている。
MFの回転式ズームレンズでは、ピントリングが前方にある方が使いやすいので、本レンズの配置は合理的だと感じる。
フードは無いよりはましな程度の長さではあるが、逆光耐性は問題ないため、この程度のフードでよしとしていると思う。
重さを気にしなければ、ELMARIT 90mm/135mm/180mmを一本でまかなえるので、非常に便利なレンズと言える。APO-ELMARIT 2.8/180が30万円程度はするので、どちらか片方を選ぶ場合、単焦点のキレを取るかズームの利便性を取るかで悩ましい。
所有しているレンズは、ROM仕様、シリアル番号が378xxxxで1997年に作られた500本の一つ、それなりに高価格で購入した。
中望遠レンズで後玉の出っ張りがないためEOS-1DsMKIIIでエラーなく使用できる。

<レンズの仕様>
VARIO-APO-ELMARIT-R 70-180mmは、R型レンズの中でもかなり終盤にリリースされたレンズで、1995年から2000年に2250本作られた。
焦点距離の変更は鏡筒内部で行われるが合焦距離の変更時にはレンズ長が変化する。
レンズ長は合焦距離無限が一番短く、近くに合わせると鏡筒が前方へ移動しレンズ長が長くなる。
フードは組み込み式で、引出時はレンズ前端から約30mmでてくる。
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 70-180 | |
最大絞り | 2.8 | |
最小絞り | 22 | |
レンズ構成 | 10群13枚 | |
絞り羽根 | 8 | |
最短撮影距離(m) | 1.7 | |
レンズ長(mm) | 189.5 | マウント面からの距離 |
レンズ最大径(mm) | 89 | |
フィルター径(mm) | 77 | |
重量(g) | 1870 | |
リリース年 | 1995 | 製造終了2000年 |
<参考文献・参考リンク>
参考文献:R型ライカのすべて/著者:中村信一/朝日ソノラマ編 Ads by Amazon
参考リンク:VARIO-APO-ELMARIT-R 2.8/70-180 Leica wiki