APO MAKRO PLANAR 120 for CONTAX645
アポ・マクロ・プラナー 120mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA S typ007
レビュー
アポ・マクロ・プラナー120mmは、京セラが中判カメラ・コンタックス645向けにリリースした焦点距離120mmのマクロレンズ。
数あるマクロプラナーの中で孤高にして異質の存在、中版マクロレンズのスタンダード焦点距離120mmを採用している。レンズ銘にあるとおり色収差を抑えるAPO仕様で撮影結果に色滲みを感じることはなく、ツァイスのコーティング技術による逆光耐性もよいため、フード無しで撮影して問題を感じたことはない。レンズを無限遠位置にするとレンズ全長は104mmと非常にコンパクトなサイズで持ち運びがしやすいが、最短撮影距離までフォーカスリングを回すとレンズ全長は200mmまで伸びる。重量は800g以下と中判レンズとしてはとても軽量だ。
LEICA S TYP007で使用するとき、カメラをオートフォーカス(AF)モードにしていると、ライカSの中央一点フォーカスが合焦表示にならないとシャッターが切れないため、画面隅のピント面を持って行く場合など不便を感じることがある。もちろんカメラをマニュアルフォーカス(MF)モードにして撮影すれば意図したところでシャッターは切れるわけだが、他のAFレンズと併用するときは、レンズ交換の都度、フォーカスモード変更をおこなう必要があり少々に面倒だ。
このレンズに興味を持ったのは、特徴的なレンズ構成のためだ。
レンズ全体では6群9枚、前群の4群6枚が通常のプラナー構成で後群の2群3枚で収差補正や撮影倍率向上などおこなっている点である。中判HASSELBLAD Vレンズ・マクロ・プラナーが4群6枚の一般的なプラナー構成で、レンズ繰り出し量に頼ったマクロレンズであり撮影倍率が低い欠点を補うために進化した考えられる。このレンズ構成は、コシナが製造するZEISSブランドのMakro Planar T* 2/100、Milvas 2/100M(8群9枚)に発展している。そして、レンズ銘にAPOを明確にうたっているMAKRO PLANARは本レンズだけである。
フォーカズ時に前群と後群が逆方向に伸びる設計で、この特殊なフォーカス方式のため、CONTAX 645自身はAFに対応しているが、本レンズはAF駆動の機構はなくMFレンズとなる。仕様比較に掲載したハッセルブラッドのHC120mmは前群だけを繰り出す設計で、HASSELBLAD Hシリーズカメラ、LEICA SシリーズカメラでAF撮影が可能になっている(ただしHASSELBLAD XシリーズはMFのみ)。HC120mmは機能的な充実のためレンズシャッターユニットとAFユニットを追加したことによって、重量は1.4kgとアポ・マクロ・プラナーの2倍弱になっている。
前述したとおり、ツァイスのマクロ・プラナーでレンズ銘にAPOをうたう唯一のレンズで設計もユニークなレンズで、CONTAX 645マウントのフランジバックの長さから他マウントでの使用も柔軟にできるため、中望遠マクロで一本所有するにはよい候補になると思う。レンズのイメージサークルは645フォーマットに対応しているため、44x33mmセンサー、35mmフルサイズセンサーを余裕でカバーする。
LEICA S typ007で使用する場合、本レンズはMFだが、HC 120mmはAFを使える利点があるためどちらを持って行こうか悩むことがある。
マクロ・プラナーの1眼レフ用のYASHICA CONTAXのMakro Planar®T* f/2.8 – 100 mm(7群7枚)とは構成が異なり、こちらも興味深いレンズだとは思うので、何かの機会に使ってみたいと思う。
仕様
レンズ名 | APO MAKRO PLANAR | HC120II |
焦点距離(mm) | 120 | 120 |
最大絞り | 4 | 4 |
最小絞り | 32 | 45 |
レンズ構成 | 5群8枚 | 9群9枚 |
最短撮影距離(m) | 0.3 | 0.39 |
レンズ長(mm) マウント面からの距離 | 104 | 166 |
レンズ最大径(mm) | 86 | 96 |
フィルター径(mm) | 72 | 67 |
重量(g) | 796 | 1410 |
リリース年 | 1999 | – |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.2.11:改稿
- 2023.06.18:初稿
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