2nd 宮崎トリプレット MS-PERAR 28mm F4

2nd 宮崎トリプレット MS-PERAR 28mm F4
eye catch

Ms-optics PERAR 28mm F4をフィルムカメラ LEICA M6とLEICA M10を含む各種デジタルカメラで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

猫多めの写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

MS-PERAR 28mm F4は2012年にリリースされたMs-optics(宮崎光学)全体で4製品目、トリプレットシリーズとしては2つめとなる広角レンズ。レンズ銘板にSUPER TRIPLEと表記があるように、レンズは3群3枚のトリプレット構成でPERAR(ペラ)の名称を与えている。

レンズの詳細な仕様は表に載せているが、主な仕様を抜粋すると以下の通りである。

  • レンズ構成は3群3枚
  • 絞りはF4~F16
  • 絞り羽根は10枚
  • レンズ厚みは9mm
  • 最短撮影距離は0.8m
  • ライカM型レンジファインダーカメラの距離計連動範囲は0.8m
  • フィルターはフード内部に19mm径フィルターをねじ込む
  • フードは専用の円筒型フードが付属

2.使用感

MS-PERAR 28mm F4はペラシリーズの特徴であるコンパクトなレンズで、フィルムカメラであればMINOLTA CLE、デジタルカメラであればSONY NEXシリーズ、LUMIX GM5などのボディ体積が小さなカメラによく似合うレンズだ。

とてもコンパクトなレンズだが操作性に問題はなく、ピントは鏡筒下部のピントレバーをスライドさせてスムーズなピント合わせができ、絞りは鏡筒前部にあり装着したフードを回すことにより絞り値を変更できる。Ms-Opticsレンズ共通で絞り環にクリックストップがないため、正確な絞り値は目視で確認する必要がある。

■フィルムレンジファインダーカメラ

M6で撮影したネガフィルムの撮影結果をみると、中心部の芯のある描写から周辺部に向かってなだらかに崩れていくのがわかる。モノクロフィルムの場合粒子が粗いフィルムだと味になるが、ISO感度の低い繊細なモノクロフィルム、ポジフィルムの場合は中央の先鋭な部分と周辺部のギャップが気になるかもしれない。

■デジタルレンジファインダーカメラ

デジタルレンジファインダーカメラは3つのセンサーサイズで使用した。まずはじめに作例にある35mmフルフレームセンサーカメラのLEICA M10とLEICA M9は2000万画素クラスのデジタルカメラになる。解像度的にはポジフィルムのようなイメージとなり、中央部分と周辺部分のギャップが気になる場面が散見される。とくに近接撮影において周辺部はグルグルボケをおこして描写として美しくないことがある。
LEICA M10と同じ解像度の2400万画素の35mmフルフレームセンサーを搭載したLEICA M-P typ240の撮影結果はLEICA M10とそれほど変わらない。

次ぎにAPS-HサイズセンサーカメラのLEICA M8は35mmフィルム判より小さなセンサーサイズにより、35mmフィルム判換算焦点距離は1.33倍の37mm相当となる。35mmフルフレームセンサーで気になる周辺部分がカットされるため、記録される画像の品質は向上する。また、1000万画素という解像度もこのレンズにはちょうどよい。
撮影時の構図決定に利用するファインダー枠についてLEICA M8は28mmレンズを装着した際に37mm相当のファインダー枠を表示できるためセンサーサイズによる焦点距離変化の影響はない。表示されたファインダー枠が37mmのため28mmレンズを使っている感覚は薄くなる。

3つのセンサーサイズのうち、もっとも小さなセンサーサイズとなるAPS-CサイズセンサーカメラのEPSON R-D1は600万画素と画素数が少ないため撮影画像のクオリティは申し分ない。そして、センサーサイズによる35mmフィルム判の換算係数は1.5倍で装着時の焦点距離は42mmとなる。
R-D1はLEICA M8同様に28mmを装着した際は撮影者が28mmのファインダー枠を選択すると42mmのファインダー枠が表示される。

この42mmという焦点距離はSMC PENTAXのレンジファインダーカメラ向けレンズL 43mmとほぼ同じ焦点距離となり、この焦点距離43mmは35mmフィルムの対角線距離35mmと近似した値で人の視野角に近い画角といわれている。R-D1でこのレンズを使用するときの撮影感覚は50mm標準レンズと近い。

■ミラーレスカメラ

RICOH GXR +Mount A12は1200万画素のAPS-Cサイズセンサーを搭載しており、EPSON R-D1にたいして約2倍の画素数がある。センサーサイズは同じなので、35mmフィルム判の換算焦点距離は42mmとなる。

レンズの描写は1200万画素を十分に生かしており撮影画像に顕著な問題は感じない。
GXRに装着した際のミニマルなカメラの姿は、オートフォーカス機構を内蔵したGR LENS A12 28mm F2.5と比べて小さく取り回しのよいカメラシステムとなる。この組み合わせは絞りをF8、ピント位置を3m付近に固定してノーファインドで切り取るスナップカメラとして活用することができる。

Ms-Optics PERAR 28mm F4 +RICOH GXR
Ms-Optics PERAR 28mm F4 +RICOH GXR

作例は用意していないが、LUMIX GM5は1600万画素のマイクロフォーサーズセンサーを搭載したミラーレスカメラで、35mmフィルム判の換算焦点距離は56mmとなり、標準レンズより少し長い焦点距離となるためオリジナルレンズとはだいぶイメージが異なる。

デジタルレンジファインダーカメラ、ミラーレスカメラの35mmフィルム判より小さなイメージセンサーを搭載したカメラで撮影するメリットとして周辺部をカット(クロップ)してレンズ中央部分だけを使うため描写のよいところだけを抽出できるという点にある。
これはMS-PERAR 28mmの採用するトリプレット形式はレンズ枚数が3枚と少なく、画像補正に使えるレンズが少ないため、画面全体を高性能に補正することはできず中央部はよいが周辺部ほど画質が悪くなる設計になることが多くPERAR 28mmはそのように設計されている。

作例は用意していないが、HASSELBLAD X2D-100Cは1億画素の44mm x 33mmの中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラで、35mmフィルム判の換算焦点距離は22.4mmの広角レンズとなる。もちろんイメージサークは中判デジタルセンサーをカバーしておらず周辺減光と周辺部の画像のくずれは発生し、これは絞っても改善はされない。
しかし、周辺減光と画像のくずれが目立ちづらい夜景や主題が中央にある場合、センサー全面を使った作品づくりが可能である。

HASSELBLAD X2D-100Cはメカシャッターを搭載していないカメラなので、撮影時にローリング歪みをおこすことがある。同じ中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラ富士フイルムGFXシリーズはメカシャッターを搭載しているため、Mマウントレンズをより大きなセンサーで使う場合の選択肢となるだろう。

3.まとめ

結論としてMS-PERAR 28mm F4をまとめると、3枚玉の抜けのよさを持つ広角レンズ。
MS-PERAR 28mmは同じPERARシリーズの21mm、24mmとくらべて像の歪みが少ないという美点があり、これは焦点距離が3つのレンズの中でもっとも長いためである。

35mmフルフレームセンサーカメラは周辺部の描写に粗が見られることがあるため、それがあらわれない場面で使うか、よりセンサーサイズの小さなカメラ使うのがベターである。しかし、より大きなセンサーサイズのカメラでも条件によっては作品作りが可能なので、さまざまなカメラで利用できるレンズだ。

仕様・考察など

レンジファインダーカメラには、多くの28mmの単焦点レンズがリリースされており、非常に個性豊かなレンズが揃っている焦点距離だ。

使用した28mmレンズは数知れず、RICOH GR 28mm、MINOLTA G-Rokkor 28mm、LEICA SUMMICRON 28mm、Orion15HEKTOR 28mmHEXANON 28mm、Summaron 28mm、ELMARIT-M28mmなど、1眼レフ用レンズも含めるとさらに多くの28mm 単焦点レンズを使用して撮影してきた。

Ms-opticsにおける3群3枚のPERARシリーズは本レンズを含めて、4本のレンズがありPERAR-35mm F3.5PERAR-24mm F4PERAR21mm F4.5と、絞り開放F値が少し暗い広角レンズがリリースされている。

製造Ms-opticsMs-opticsMs-optics
名称PERARAPOQUALIA(I)APOQUALIA(II/III)
焦点距離282828
最大絞り42.082.08
最小絞り161616
絞り羽根101010
レンズ構成3群3枚4群5枚4群5枚
最短距離(m)0.80.80.35
レンズ長(mm)99.89.8
フィルター径(mm)192828
重量(g)457070
リリース年201220162018

参考情報

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更新履歴

  • 2025.10.21
  • 2025.6.9
  • 2024.11.19
  • 2024.03.12:改稿
  • 2022.06.04:初稿

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