レトロフォーカス採用 KM HEXANON 35

KONICA M HEXANON 35mm F2をフィルムカメラとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- フィルムの写真作例の撮影はHEXAR-RF +KODAK PKR-64 リバーサルフィルム
- デジタルの写真作例の撮影はLEICA M9
レビュー


1.概要
ヘキサノン-M 35mmは、2000年にリリースされたライカMマウント用の広角レンズ。
詳細な仕様は表に載せているが、主な仕様を抜粋すると以下の通りである。
- レンズ構成 7群8枚のレトロフォーカス型
- 最短撮影距離 0.7m
- 絞り開放値 F2
- 絞り羽根 10枚
- フード 専用円形スリット・ねじ込み式
レンズフードは鏡筒先端にねじ込んで後、フード先端が120°回転しファインダーの邪魔にならない位置にフードのスリットを移動することができる。フード先端を固定する装置はないのでカメラバック内で位置がずれることがある。
外観デザインは、ヘキサノン、28mm、50mm、90mmとほぼ同じだか、レンズ鏡筒にはズミクロン6枚玉と似たフォーカスレバー(フォーカシングレバー)が装着されている。これが装着されたのは、他のヘキサノンよりもレンズ鏡筒が太くなったことへの対応と考えられる。
2.使用感
絞り開放から均一な画像を得ることができる優等生レンズ、絞り変化による画質の変化も少ない。
これは、レンズ構成にレトロフォーカス型を採用したことが影響している。
過去にコニカがリリースした同スペックの焦点距離35mm、開放絞りF2のL39スクリューマウントレンズは変形クセノタール(クセノター)型レンズなので、本レンズではレンズ構成を一新している。
- クセノタール型とは、前群がガウス型、後群がトポゴン型のハイブリッドでZeissのビオメターも同様の構成だ。コニカのL39 ヘキサノン 35mm F2は後群のトポゴン型のところに2枚レンズを追加しているため、変形クセノタールと呼ばれている。
過去のL39 ヘキサノン 35mm F2は、絞り値変更による描写変化はあるが、フィルムカメラ、デジタルカメラで必要十分な解像度と美しいボケ見をもっていた。
新型のM ヘキサノン 35mm F2は、過去のレンズ構成を踏襲せず新しいレンズ構成への挑戦をした。
この結果、描写性能は平坦性の向上というデジタルカメラ時代へ向かうにふさわしい性能となった。
しかし、レンズ鏡筒は従来のコンパクトな35mm F2レンズより、同スペックにもかかわらず大型化し、他のM ヘキサノンレンズよりも太いレンズとなっている。
さまざまな事情でリリースされたレンズ仕様になったのだろうが、スペックに変更なしにもかかわらず鏡筒が大型化したことはユーザー心理からすると残念な結果だ。
鏡筒が大型化するのであれば、過去のレンズ仕様を越えて絞り開放値をF1.4に拡張したM ヘキサノン 35mm F1.4が見たかった。
本レンズは、他のレンズより後にリリースされたためか、市場にあるレンズの数が少ないようで他のコニカ製Mマウントレンズより、中古市場で見かけることが少なく価格も高めである。
3.付加情報
最新のカール・ツァイス ビオゴン35mmは本レンズとほぼ同じ長さになっている。このビオゴン35mmもビオゴンタイプと言いつつ、レンズのバックフォーカスを長めにとる設計のため、レンズ全長が伸びている。
レンズ性能のためにレンズが大型化する事も理解はできるが、撮影者としては35mm F2クラスのレンジファインダーカメラ向けレンズはコンパクトにまとまっていて欲しい。
ライカの最新のアポ・ズミクロンは5群10枚のレンズを詰め込みながらレンズ長41mmで収めているのはとてもすごいことだが、値段もすごいことになっている。
仕様・他社レンズ比較
項目 | M ヘキサノン | CARL ZEISS BIOGON | LEICA APO SUMMICRON |
焦点距離(mm) | 35 | 35 | 35 |
最大絞り | 2 | 2 | 2 |
最小絞り | 16 | 22 | 16 |
絞り羽根(枚) | 10 | 10 | 11 |
レンズ構成 | 7群8枚 | 6群9枚 | 5群10枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 | 0.3 |
レンズ長(mm) | 45.1 | 43.3 | 40.9 |
レンズ最大径(mm) | 55.7 | 52 | 53 |
フィルター径(mm) | 46 | 43 | 39 |
重量(g) | 260 | 230 | – |
フード | 円形スリット・ねじ込み | ZM | M |
マウント | KM | バヨネット | ネジ込み |
リリース年 | 2000 | 2005 | 2021.4.21 |
製造本数 | – | ? | ? |
価格(定価・税別) | ¥95,000 | ¥960,000-(2021) ¥1,300,000-(2024) |
焦点距離 | レンズ名 | リリース年 | 仕様PDF |
28mm | M-HEXANON f28 / F2.8 | 1999年 | 28/50/90mm-PDF |
50mm | M-HEXANON f50 / F2 | 1999年 | 28/50/90mm-PDF |
90mm | M-HEXANON f90 / F2.8 | 1999年 | 28/50/90mm-PDF |
35mm | M-HEXANON f35 / F2 | 2000年 | 35mm-PDF |
50mm | M-HEXANON f50 / F1.2 | 2001年 | 50mm/F1.2-PDF |
21-35mm | M-HEXANON f21-35 / F3.4-4 | 2002年 | 21-35mm-PDF |
参考文献・参考リンク
- KONICA 35mm Technical Report-PDF(Japanese)
- ライカ通信 No.4 P19にKM HEXANON 35mm リリース予定の記載あり・Ads by Amazon
- BIOGON 35mm ZM・Shige’s hobby
更新履歴
- 2025.3.18
- 2024.03.02:改稿
- 2022.05.25:初稿
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