SUPER ELMARIT R 15mm
Rマウント最新鋭・超広角レンズ
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LEICA SUPER ELMARIT R 15mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA R8 +PORTRA 160 +DiMAGE Scan Multi PRO
レビュー
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1.概要
スーパー・エルマリート 15mmは2001年から2009年の8年間に420本製造された。
フードの形状から前玉にフィルターを装着することはできない。そのため、レンズ保護のためにかぶせ式のキャップが付属しているが、ただ嵌めるだけなので若干外れやすいため注意が必要だ。
レンズの主な仕様は、10群13枚のレンズ構成、絞り羽根は6枚、最短撮影距離は0.18m、鏡筒内に4色フィルターを内蔵している。
ライカRマウントの単焦点のマニュアルフォーカスレンズの造り共通で、鏡筒中央前寄りにフォーカスリング、鏡筒付け根に絞りリングを装備している。絞りリングは判断毎にクリックストップが効いている。
手元にあるレンズはシリアルナンバーから2002年製造の100本一つだとわかる。このレンズが発売された2000年代は日本通貨の円がそれなりに強かった時代であり、それなりの数が日本にありそうな気はするが、実際に日本国内に何本あるのかはわからない。
2.使用感
スーパー・エルマリート R 15mmは、焦点距離15mmのライカRマウントレンズ。
このレンズはスーパー・エルマー R 15mmよりは小さく軽いため、小型のミラーレスカメラに取り付けても違和感のないレンズだ。
ライカ R8に35mmフィルムを入れて15mmのレンズとして撮ってみるのも悪くないと思い、冷蔵庫に死蔵していたネガフィルムPORTA 160を詰め込んで撮影した。
R8は電子機器カメラなので電池が必要で、部屋にあった2013年で期限の切れたCR2を2本装着するとカメラは無事起動した。このCR2はフィルムカメラのGR1向けに購入していたが、GR1を売ってしまったために、使い道なく死蔵されていたものだ。
R8からDMRを外してカメラ裏蓋を通常のフィルム用に取り替え、フォーカシングスクリーンをDMR用から、フィルム用のマイクロプリズムスクリーン・14343に変えたが、15mmの広角レンズの構図取りには不向きだったので方眼スクリーン・14346を購入して使用している。2010年代はそれなりに見かけたR8、R9フォーカシングスクリーンだが、2020年代にはいると市場からなくなってきている。14346はグーグルで検索するとひっかっかったので、それなりの値段だったがためらわず購入した。
ライカが2003年に配布した、「Leica R-Lenses by Erwin Puts November 2003 Chapter 6: 15 mm lens __ LEICA ELMARIT-R 15 mm f/2.8」によると、スーパー・エルマリート 15mmでピントの山を掴むためには、マイクロプリズムスクリーン・14343が推奨されている。
たしかに、方眼スクリーンは構図取りには便利なのだが、フォーカスリングを回したとき、スクリーン上でピントの山を判別することが難しくほぼ目測での撮影となっている。
フィルムで使用する場合はある程度の距離をとる場合は無限にしておけばほとんど問題ない。デジタル一眼レフカメラの場合は、近接をアバウトな距離で撮影すると微妙に狂っている。ミラーレスカメラで使用する場合は、EVFの拡大機能で確認すれば問題ない。
所有しているDMR(LEICA DIGITAL MODULE R)が生きていれば、焦点距離21mmの広角レンズとして使えたが、所有するDMRはすでに壊れて文鎮となっているため、残念ながら使うことはできなかった。
ハッセルブラッド X2Dで使用したところ、使用可能面積が中判デジタルセンサー(44 x 33mm)の76%と35mm版フィルム、35mmフルサイズセンサーを超える範囲はカバーしていないことが確認できた。これは固定フードの影響もあるため、固定フードをカットすれば、撮影範囲は広がるだろうが、そんなもったいないことをするレンズでないことは間違いないため、このままの状態で後世に渡していければと思っている。
3.付加情報
スーパー エルマリート R 15mmと直接比較するのは、スーパー エルマー R 15mmと比べるのがもっとも妥当であろう。
スーパー エルマリート R15mmはライカ設計ではなくシュナイダー設計でスーパー・エルマー R 15mmはカール・ツァイス設計だ。製造はどちらがおこなっていたかは資料が見当たらない。
二つのレンズの比較については、ライカが2003年に配布した、「Leica R-Lenses by Erwin Puts November 2003 Chapter 6: 15 mm lens __ LEICA ELMARIT-R 15 mm f/2.8」に詳細な記事が載っている。
以下一部引用すると概ね以下の内容となる。この資料は17mmを越える超広角レンズについて詳しい考察が載っており大変参考になる。
- 焦点距離の違い、スーパーエルマリートは15.6mm、スーパーエルマーは15.4mm
- 歪み、スーパーエルマリートは最大2%、スーパーエルマーは最大4%
- 歪みは最大値よりもその歪み曲線が重要と指摘している。
- 口径食による周辺減光の改善程度はスーパー エルマリートは1絞りで改善し、スーパーエルマーは2.5絞りで改善する。
- そのほかに両者の直接の比較はないが、画質の向上について文字数を割いて説明している。
要約だけを見ると、それほど大きな違いは無いように見えるが、20数年分の進化ととらえるのか、スーパー エルマーでも十分ととらえるのかは撮影者次第だ。
古い15mmレンズの代表格である、カールツァイスのディスタゴン 15mmは、スーパー・エルマー15mmをはじめとするOEM、設計図売りなどで、兄弟レンズがいくつかのメーカーから販売されている。
シュナイダー社の15mmレンズはライカ以外には提供していないようである。
スーパー エルマー以外に、35mm判をカバーする15mmの焦点距離を持つ単焦点レンズは、レンジファインダーカメラ向けのレンズとして、ツァイス・ディスタゴン 15mm ZM、フォクトレンダー・スーパーワイドヘリアー 15mm(1999年)、ツァイス・ホロゴン 15mm(1972年)、一眼レフカメラ向けレンズとして、ツァイス・ディスタゴン 15mm F3.5の系統をのぞくと、ツァイスの新型ディスタゴン 15mm F2.8、LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO(2016年)と極めて少数だ。
より広角な14mmは、一眼レフカメラ向けレンズとして、、シグマが14mm F1.4 DG DN | Art | 頂点に過去数種類の14mm単焦点レンズをリリースしている。ミラーレスカメラ向けでは、ソニー FE 14mm F1.8 GM G Master(2021年)、サムヤン 14mm F2.8、Pergear 14mm F2.8 IIなどいくつかのメーカーが提供している。
ライカは自社開発のリソースがないときは他社を活用している、過去のL39スクリュー、ライカ M、ライカRマウント、2020年代のLマウントアライアンスを含めその姿勢は変わらない。何でもかんでも自社でやる必要はない。
ミラーレス時代に入り、設計ソフトウェアの高度化、製造技術の向上でこういった広角レンズも比較的安価でつくれるようになった。それでも、スーパー・エルマリート R 15mmはライカ Rマウントレンズ、最後期の超広角レンズとして色あせることはない。
このレンズはライカRレンズフリークとして昔から探していたレンズである。ときどきのぞいているebayで見かけることはあったが、購入を考えている時期は円安進行が進んでいたため海外からの購入という選択肢はほぼ消えていた。そんな折、懇意のカメラ屋がコレクターから入手した物について、購入打診がありレンズ箱、その他付属品完備の美品を入手できた。
基本的にレンズはコレクターの元にあり、コレクターが年齢とともに、使わないものを処分するとき市場に現れる。奇しくも現れるときは数本同時に現れたりするので面白いものだと思う。前述のように、自身のレンズもいずれ市場に流れていくことだろう。
Rマウントレンズのなかで使ってみたいレンズとしては、APO-SUMMICRON-R 180mmがあるが、こちらは中古で見かける機会はそれなりにあるが高価なため手が出ずにいる。
仕様
レンズ名 | SUPER ELMARIT | SUPER ELMAR |
焦点距離(mm) | 15.6 | 15.4 |
最大絞り | 2.8 | 3.5 |
最小絞り | 22 | ← |
絞り羽根枚数 | 6 | 5 |
レンズ構成 | 10群13枚 | 12群13枚 |
最短撮影距離(m) | 0.18 | 0.16 |
レンズ長(mm) | 85.3 | 92.5 |
レンズ最大径(mm) | 83.5 | 83.5 |
フィルター径(mm) | – | – |
フロントキャップ | 専用金属フード | 14294 |
重量(g) | 710 | 815 |
製造数 | 420 | 2980 |
リリース年 | 2001 | 1979 |
参考文献・参考リンク
- Leica Wiki 「SUPER ELMARIT 15mm」
- 季刊クラシックカメラ 17 (P66,67に記事あり) ・アマゾンアフィリエイト
- ライカ通信 No.6 P84に新製品情報に1ページの簡単な記載あり・アマゾンアフィリエイトリンク
更新履歴
- 2025.2.3
- 2024.10.5
- 2024.02.17
- 2023.11.17
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